エンプラ/スーパーエンプラのレーザー加工

ポリカーボネート(PC)シートのレーザー切断とレーザーマーキング

本稿では、ポリカーボネートシートのレーザー切断とレーザーマーキングについて説明します。

本加工に用いたレーザーシステム構成、プロセス設定、および結果について以下に示します。

 

加工素材

  1. McMaster-Carr:クリアスクラッチ・耐衝撃性ポリカーボネート、12インチ x 24インチ x 1/16インチ、商品番号8707K162

 

レーザーシステム構成

ポリカーボネート(PC)シートの加工には、2つの75W 9.3μm CO2レーザー(合計150W)、50W 1.06μmファイバーレーザー、および4xレンズを備えたユニバーサルレーザシステムズのULTRAを使用しました。また高品質なレーザー加工を実現するため、光学部品保護付きエア/ガス・アシストおよびダウンドラフト切断テーブルを使用しました。

  • 光学部品保護付きエア/ガス・アシスト:
    エアおよびガスを使用したレーザー加工には、「コーン」および「バックスイープ」の構成が利用できます。コーン構成では、レーザー・ビームの経路方向に沿って圧縮エア/ガスが流れます。コーンはレーザー光学部品の保護、材料の冷却、煙や炎の発生を防ぎます。バックスイープ構成では、材料の作業表面に沿って圧縮エアが流れます。バックスイープは、特定材料の切断や彫刻の際に生成される重い微粒子を取り除きます。
  • ダウンドラフト切断テーブル:
    ダウンドラフト切断テーブルは、空洞構造のハニカムコア表面でターゲット素材を支持し、加工処理している素材の両側から煙や裁断くずなどの副生成物を排出することで、きれいなカットエッジを生成すると共に、素材裏面の傷を減らします。またエア/ガス・アシストおよびコーンは、圧縮エア/ガスの噴射によって、副生成物を切断部からダウンドラフト切断テーブルに組み込まれた排気経路に送ります。

 

プロセス設定

ポリカーボネートシートは、両端にペーパーマスクを貼り付け、切断テーブルに直接設置しました。高品質な加工を達成するプロセス設定を表1に示します。デザイングラフィックは、ポリカーボネートシートのレーザーマーキングとレーザー切断の加工領域を示しています(図1)。

表1.プロセス設定

Process Laser Passes Power (%) Speed (%) Freq1 (kHz) Wave2 ID3 PPI4 Time
Vector 75W 9.3μm CO2 2 90 10 300 1 min, 1 sec
Raster 50W 1.06μm Fiber 1 60 50 50 0 7 6 min, 22 sec
  1. Freq:ファイバーレーザーパルスの周波数設定
  2. Wave:波形の選択
  3. ID(Image Density):レーザー彫刻の画像密度
  4. PPI(Pulses Per Inch):レーザーマーキング用のレーザーパルス数(1インチあたり)

 

黒で示された要素はファイバーレーザーでマーキング/赤の要素はCO2レーザーで切断/白い領域は影響を受けません図1. 黒で示された要素はファイバーレーザーでマーキング/赤の要素はCO2レーザーで切断
/白い領域は影響を受けません

 

PCシートは、ファイバーレーザーを使用した高コントラストのマークを作成した後に、CO2レーザーを用いて材料を切断しました。クリーンなサンプルを得るため最初にレーザー切断プロセスを実施し、レーザー彫刻の実行前に紙のマスクを取り除きました。

 

結果

レーザー切断用のベクター設定は、チャーの生成をできるだけ抑えられるよう検討されました。レーザー彫刻は、すべての形状と寸法において設計した通りの品質を得られたことが分かりました。完成したサンプルの画像を図2に示します。

完成したPCシートのサンプル図2. 完成したPCシートのサンプル