レーザー加工の基本情報

セラミックコアレーザーと比較したメタルコアレーザーの長所

レーザーの本体はコアと呼ばれ、レーザーガス混合物が含まれています。コアは、メタル、セラミックやガラスで作ることができます。セラミックコアレーザーと比較したメタルコアレーザーの主な長所を以下に説明します。

セラミックコアレーザーとメタルコアレーザー

セラミックコアレーザーは、1970年代に水冷式のイオンガスレーザーとして商業向けに開発されました。一方、メタルコアレーザーの技術開発は、軍事目的といった要件の厳しい極めて重要な用途を起源としています。1980年代後半にこれらの軍事向けプログラムは完了しましたが、その後もメタルコアレーザーの開発は、高い信頼性と実用性を兼ね備えたレーザーを商業および産業用途に手頃な価格で提供するために継続されました。

メタルコアレーザーはアルミニウムから構成されており、製造中に不動態化処理(マイクロコーティング)を施して、すべての内部部品に薄い高密度のセラミック層(AL2O3)を形成します。これは、ガス混合物と金属との接触を排除するためです。この非常に薄いセラミック層(わずか数ミクロン)が、熱伝導率に影響を与えることはありません。セラミックコアレーザーとメタルコアレーザーの双方ともに、ガスを充填する前に汚染物質をすべて取り除くため、製造工程で高真空レベルまで排気処理、汚染除去されます。したがって、セラミックコアレーザーとメタルコアレーザーのどちらも、コアには汚染がありません。

 

メタルコアレーザーの長所

容易な冷却

メタルコアレーザーの重要な長所の一つとして、冷却の容易さが挙げられます。レーザーによって消費される電気エネルギーは、その一部がレーザー出力に変換され、残りは熱に変換されます。CO2レーザーの混合ガスは高温に敏感なため、余分な熱の除去が非常に重要です。金属は熱を迅速に伝達してレーザーの混合ガスを最適な動作温度に維持できるため、レーザーの冷却が必要な場合は、セラミックよりもメタルコアがより良い選択肢となります。セラミックコアは熱伝導率が低く、特に空冷式レーザーに最適な選択とは言えません。

 

直線偏光

この他のメタルコアレーザーで注目すべき長所は、直線偏光です。直線偏光のレーザビームは単一の交差偏光ビームに結合され、より広範な出力オプションを持つため、レーザー材料加工に優れた利点をもたらします。さらに、複数のレーザーと互換性のあるシステムでは、異なる出力や波長を有するメタルコアレーザーを組み合わせて、同じ光路を共有することができます。反対に現在のセラミックレーザーは、結合できない偏光ビームをランダムに生成します。

 

修理が簡単で長寿命

またメタルコアレーザーは、修理が簡単で長寿命です。過去20年間に数十万個のメタルコアレーザーがULSおよび他の企業によって製造されており、10年以上前の多くのレーザー光源が現在も使用されています。セラミックコアレーザーも長い動作寿命を提供できますが、接合やシーリングに接着剤を使用して、光共振器をセラミックコアに直接取り付けているため、メンテナンスに手間がかかります。一方のメタルコアレーザーには、金属製や半導体グレードのエラストマー製シーリングが使用されています。またメタルコアレーザーはメンテナンスが必要になるまでの期間が長く、長期にわたって信頼性と保守性を保持します。

 

まとめ

世界トップクラスのレーザーシステムメーカーは、メタルコア空冷式CO2レーザーを用いてレーザーシステムを設計、製造、使用しています。これらのレーザーは、さまざまなレーザー材料加工に対して広範な出力オプションと無期限のレーザー寿命を提供します。レーザーシステムの導入に際しては、メタルコアレーザーの長所を考慮の上、ご検討ください。